分子は必要なエネルギーに相当する特定波長の光のみを吸収して励起状態(高いエネルギー状態)に変わり、そのあとすぐに基底状態(元の安定な状態)に戻る。
このときエネルギーを光として発する現象を"発光"
一部の熱として放出されたエネルギーの分析法は"光熱変換分析

・無輻射遷移
『「無輻射遷移」とは何だろう』という名の論文がわかりやすいので是非。
Kashaの法則がとても興味深く有用だった。


・散乱光
光は正負交互に振動している磁場
分子上の電子がその振動場に揺られ、その結果分子の電子の振動が作った同じ振動数(入射光と同じ波長、極めて弱い)として周囲に発射されるその光のこと。

E=hν=hc/λ
(振動数が大きい、波長が短いとエネルギーは高い)

可視光 360〜780nm
紫外線 200〜360nm
n=10^-9
1nm=10Å

発色団…不飽和結合を主体とする、光を吸収する構造
エチレンは165nm, 210nmにπ→π*吸収帯を持つ。前者が強く後者は弱い。
置換基が入ると長波長側に移動(深色移動)する、両方動くもののこれは210nm側で著しい
移動の大きさは置換基の共鳴相互作用や超共役。
カルボニル基では置換基によって短波長側に移動(浅色移動)する。
π電子の基底状態のエネルギー準位を低下させるため。
(おそらく、短波長に移動→νは高い→エネルギーは大きいことから。励起状態に変化するのにさらにエネルギーが必要になる。
逆に深色移動は超共役のせいで励起状態になりやすい?)

助色団…吸収を左右する

分子エネルギー(エネルギー遷移の幅から)
・回転エネルギー
・振動エネルギー
・電子エネルギー
先ほどの式から、吸収波長は
λ=hc/E
多数の振動、回転エネルギー準位があるため吸収する光はただ一つではなく近接した波長の光もいくぶん吸収される(吸収スペクトルに山形ピークや吸収極大がある理由)

電子励起方式
・N→V遷移
・N→Q遷移
・N→R遷移

波長:光の正弦波の山と山、谷と谷の距離
ν=c/λ
E=hν
h:プランク定数[Js]
ν:振動数[Hz]

透過度
単色光がI0強度の物質の溶液を通過し、Iの強度の透過光になったときの減少比率(t)

百分率で表すと透過率(T)、指数関数的に変化
pHのように-logすると吸光度(A)、直線(検量線)
吸光度1.5以上は信頼しない、0-1と1-2は光の変化量が大きく異なる

Lambertの法則
測定するセル層の長さに比例する
A=k・l
Beerの法則
試料の濃度に比例する
A=k'・c
合わせて、
A=a・c・l
a:吸光係数

吸収スペクトル
波長を連続的に変え吸光度を測定した際にいくつかの山を示す図のこと。
吸収スペクトルの最も高いところを吸光極大

分光光度計
単色光を作り出して試料に照射し、透過した光の量を測定して、試料のその波長における吸光度を求める

1.単光束
紫外部はD2ランプ、可視部にはタングステンランプや明るいハロゲンランプ
分光器(モノクロメーター)で白色光から単色光を得る
回折格子は表面での光干渉でプリズムのように七色の光を反射光として決まった角度に出す、プリズムを使うこともある
光ダイオードで捉え、増幅し、デジタル信号へと変換のち演算
紫外部測定には石英製、可視部だけならガラスや使い捨てのプラスチック製。
0-100合わせの必要あり。対照液を入れて100%と、光ブロックをいれて0%

2.二光束
チョッパーにより一定の周期で単色光を試料溶液および対照液に振り分ける。
両溶液を通った光を同一検出器にいれると試料だけの信号が記録される。
チョッパー:円板の半分にミラーをつけて他の半分を空げきとした装置、同期されて回転する
迷光を少なくするためプリズム-回折格子や回折格子二枚重ねなどの組み合わせを利用したものもある
検出には光電子増倍菅が用いられる。

エタノールなどのアルコールは空気酸化でアルデヒドを生じ、短波長側に吸収を示すこともある
水は紫外・可視全領域で吸収を示さない

Beerの法則に従わない原因
溶液中で光吸収物質の解離、会合、平衡の変化(pHなどによる)
光の波長幅が大きい

・二波長分光光度法
光源を分割し、自由に回転できる二つの回折格子により任意の異なる波長の単色光に分光される。
一つの試料セルの同一箇所に交互に照射され、その間の差吸光度が測定される
強度は減光器を用いて等しくI0に調節される

混濁試料の測定が可能
従来の対照液に相当するものは試料自身
試料セル一個だけなのでセル位置やセル定数など吸収セルに起因する誤差や対照液間の濁りや濃度の差が全くない

・吸光光度法
光量の減少度合を利用して物質の量を求める
吸収波長から物質がどのようなものかを推定

ME=10ε
M:分子量 E:比吸光度 ε:モル吸光係数[mol/L]
A=a・c・lからaを左辺に持ってきてそれぞれε、Eの形はわかる
添付画像に変換するための式を記載。こんな式でも30分悩むくらいだから注意。分子量の変換あたりで等式は成り立たなくなることにも注意

・ルミネッセンス
物質が吸収したエネルギーの全部または一部を光として放出する現象
光、熱、化学、放射線ルミネッセンスがある

電子の取るエネルギーは量子化されており、基底状態、第一励起状態、第二励起状態とに分かれている
それぞれの状態はさらに原子核間の振動や回転状態に応じて様々な準位が存在する
紫外領域から可視部の光を照射するとエネルギーの強さが電子の状態変化に相当する強さなので、吸収して基底状態からさまざまな振動(回転)準位の励起状態へと遷移する。
励起された物質はエネルギーを失い、S1の最低振動準位に急速に遷移する
この準位からG(基底状態、groundの頭文字)へ遷移し、光としてエネルギーを放出すると蛍光が生じる
光以外にエネルギーを放出すると無放射遷移

Stokesの法則
蛍光は励起光よりエネルギーが小さい長波長の光となる
物質に吸収された光のエネルギーは、エネルギー準位が励起状態からS1の最低振動準位に遷移する間に一部は熱などで失われるため。

・禁制遷移
確率の低い遷移のこと。
励起一重項状態から

禁制遷移によりS1からT1へと遷移し、そこから基底状態へと戻る際に放出された光はリン光(燐光)と呼ばれ、S1からT1への遷移確率が小さいので寿命は蛍光よりも長い
(10^-8秒なのに対し、燐光は10^-1秒も)

・蛍光光度法
(日局16より)
蛍光物質の溶液に特定波長域の励起光を照射するとき、放射される蛍光の強さを測定する方法である。この方法は燐光物質にも適用される)

化学発光
化学反応から生じるエネルギーを受け取り、その全部(または一部)のエネルギーを光として放出する現象
生物由来であると生物発光
光源が不要なのでノイズが小さく高感度
化学反応(主に酸化反応)によって反応中間体を経たのち、励起状態にある生成物となり
1.基底状態に戻る際に光を放出
2.共存する蛍光物質にエネルギーを与え、そこから放出。

化学発光量子収率
φCL=φC×φE×φF
C:化学反応の収率
E:励起状態にある分子の生成収率
F:励起分子の蛍光量子収率

分光器は必要ない。光が微弱であるから。

1.高感度
光源不要→迷光や散乱光がなく、検出部では光のない状態で測定可能
2.測定機器が簡単
3.低い選択性
4.様々な条件に発光強度が著しく影響される
特に不純物に注意

UV:紫外
VIS:可視
NIR:近赤外