いますぐ書け、の文章法
すぐに書け。書いて書いて書きまくれ。
こちらの意識を変えろ。読む人の視線に立て。


タイトル:いますぐ書け、の文章法
著者:堀井 憲一郎
出版社:筑摩書房




この本が示すのは文章を書く側の意識の改革。
著者はそれを述べるために、ライターとして働き、また教師として講義から得た経験を生かし、アマチュアとプロの違いについてをずばずばと切り込んでいます。

最初に、文章を上手く書きたくための教訓をいきなり述べています。
「うまく書きたいと思うな」
自分には何かが欠けているんじゃないか、その欠落感が文章から自分を遠ざけていく。
考える前にとにかく書け、ただ、書く前にも色々と準備をして書くのだ。
本を読んだりボキャブラリーを増やしてから、などと言い訳をする前に書け。
将来のためにはそりゃ読んだ方がいいに決まっている。ただ、書け。

これが、この本の要旨。
面白いのが、前に読んだ『マンガで読む 「分かりやすい表現」の技術』と似通ってるところがあるんです。
それは、お客様の気持ちを考えること。

読んでいる人のことをいつも考えろ。
自分の主張をいったん曲げてでも読者を楽しませろ。
と書いてあります。
これ故に『自己表現をしたい人は文章書きになれない』とも仰っています。


あとは読んで使えそうな要素を抜き出しただけであります。
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想定するのは「きわめて不親切な読者」
相手が自分の書く文章をそのままに受け入れて褒めてくれるとは思うなと自覚しろ。

あくまでも参考のテクニックとして
・漢字を減らせ
どちらの音で読めばいいか迷う漢字は使うな。

・すぐ改行をしろ
長い文章は読みづらい。受験や就職とは違うのだから長々と続ける必要はない。

・タイトルに結論を持ち込め。
・時間軸に縛られるな。
・が、では。を打て。

・見出しは逆説がいい(予想しない論理展開を見せること=逆説)
「痩せたいなら食え」
「健康は徹夜から」
「ゲーム脳は年収が高い」
などなど。
今回のブログの記事に他のタイトルを付けるとすれば「自己主張したければ作家になるな」
疑問形のタイトルはやめておいた方がいい
「おや、何だろう」と思わせないから。


「知らなかったことを知る」
このとき、人は文章を面白いと感じる。

「唐揚げを簡単に美味しく揚げるコツ」は立派な文章だ。
人は人の話を聞きたい、行動が伴わない話や考えを聞かない。
文章を書くのは人を変えるためである。

名エッセイは人を変える意識に満ち満ちた文章で溢れている。
それらは日常のふとした瞬間を新しい角度から眺めている。

「何か面白いことはないか」
「新しい工夫はないか」
これらを日々考え続けること。常にネタを生み続ける。

文章は公ではなく私から発信するものだ。
自分の感情を吐出しろ、そこに怖気づくな。
誰が書いても同じ文章表現に価値などない、自分を盛り込め。

文章はそもそも独断と偏見だ。
自己を弁解する表現などいらない。
断言するのは読む人のため
しないのは自己防衛のため


発想は「私の熱」
まとめるのは「公の冷静」

結果を予測して、仮説を立てて調査をするのだ。

人を惹き寄せる文章を書きたいのであれば、良い文章をとにかく読め。



最後に、ちょっとしょうもないなと思った筆者の考え方を一つ。
「想像の女性読者は『おっぱいのことをどう考えているか』を明確に想像して生む」
ぽやぽやとした曖昧な存在としてでなく、具体的な意志と判断基準を持つ読者を架空読者におけ。
そのための一種のジョークを交えた方法なのだろう。
とはいってもさ、そんなん想像できないって!

貧乳だったら。
胸に手をおいてしょんぼりしながら「もう少しくらい大きくならないかな……」
か、
胸を張りながら「だからどうした?」と自信満々な娘。
巨乳だったら
肩に手をおきながら悩ましげに「最近肩がこって困るのよねえ」と呟く。
または、「はっはっは、胸の大きさなど関係ない!」とアクティブなお姉さま。

くらいのステレオタイプにまみれております。
わぁい、見事な童貞力だべや!
やっぱ、人を惹き寄せる文章を書くには人のことをよく知らないといけないんですね。
それがこの本の趣旨ですから。
「読者のために、読者の視点に立って、読者が求めるものを書く」
相手を知らずに喜ばせることなんてできません。
くっ、人と付き合っていかなければいけないのか……