Title:瓶詰地獄
Author:夢野久作
青空文庫から

竜騎士07さんがうみねこはこの雰囲気を元に作ったと書いてあったので読みました

字数以上に入り組んだ世界観を短文で表せる天才、これが夢野久作なのか
夢野久作と言えばドグラ・マグラを挙げる人もよく聞きます。
同じく、この瓶詰地獄も面白い作品です

第一瓶は、アヤ子の筆記
第二瓶は、太郎の筆記
第三瓶は、狂気に駆られている太郎の筆記

この話の報われない点は、一番最初の役所の報告から分かるように三つの瓶は同時に流されて、発見された。
つまり、第三瓶は親に届いていない。
第一瓶の船が来た描写は十中八九幻想、幻想に駆り立てられて相対死を選ぶとは……

全体を通して言えることは、瓶の内容が矛盾している。
まず、第一瓶では最後に助けの船が来ている。
その理由として『前に瓶を流して、それを誰かが受け取り救出に来たから』と書いてある。
しかし、そんなわけがない。
なぜなら。第二瓶では鉛筆の残りがもう少ないと書いてある。
つまりここから他の瓶へ派生できない。
第三瓶は完全に狂気に気を奪われてしまった、ここから第一瓶に繋がるとは考えにくい

また、第一瓶では近親相姦を犯してしまっている。
他の瓶では事情が違う。
第二瓶では少なくとも書いた時点ではまだ犯していない。
第三瓶は、……難しい。
犯してしまってからの狂気かどうか、何がトリガーとなっての狂気かが分からないから判断しづらい


と、ここまで書いて気付いてしまった

もしかして、3→2→1の順番ならば矛盾は起きないのかもしれない
はじめに、生存確認の瓶を流す、これが第一瓶に記されていた最初の瓶
次に、時が経ってから自分がアヤ子に劣情を抱いているとのことを記した瓶を流す
そして、ラスト、始まりで終わり。
アヤ子の告白、近親相姦は起きてしまった。二人は罪意識から幻想の助けがくることを恐れ死を選ぶ。
これによって真相は猫箱の中に、瓶詰手紙からしか真相を読み取ることはできず、誰も罪を知ることはない。
すべての証拠がないとミスリードしてしまうという点で、後期クイーン問題に触れているともいえますね。
しかし、ここには第二瓶で描かれている描写によって矛盾が発生します
第二瓶で、太郎は鉛筆の残りが少なくなっていると書いてある
よって、第一瓶の内容を果たして書けるのか?ということ
しかし、誰も鉛筆で書けとは書いてないので、島にいる動物の血でも使って書いたのかもしれない。酷いこじつけ。
これでQ.E.D.

ここから、うみねこのなく頃にの着想を思いついたとしたら、感慨深いですね
もしかしたら、これらの瓶詰手紙は先ほどの私の考察とは違い、時系列などなく、全て正しく、パラレルワールドで起きた事件を記しているだけなのかもしれない
第一瓶は、
近親相姦への罪意識からの相対の死
第二瓶は、
純粋に生活に困窮死
第三瓶は、
狂気に精神を蝕まれ死

個人的には第三瓶の異常っぷりが大好きです
今までの文体揃い踏みの文章からいきなりのカタカナ文体、奥に潜められた終った精神、狂気をヒシヒシと感じ取れます
この世界観、大好きです